『デビルズドリーム』

2005年春、新聞連載のために書き下ろされた子どものための小説『デビルズドリーム』。はっきりした理由がわからないまま却下され読まれる機会を失っていた本作が、理論社のweb連載を経て、ようやく形ある「本」になりました。
現代の不安や歴史の陰の部分を描きながらも希望に満ちた物語の中には、心の栄養になるような言葉がたくさん詰まっています。カラー挿絵も入り、文字色はブルーブラック。美しい本に仕上がりました。

少女の<いま>はどうなっているのか?
その心をつなぐもの──

 2年前に、両親の離婚で母と二人長崎にやってきた小学6年のアキ。仲良しの友だちも出来て、母もぴったりの仕事がみつかり、新しい土地で母子はうまくやっているようだった。アキが親友トモネと話すのはパソコンの掲示板<デビルズドリーム>。そこで、互いにハンドルネームを持ち、学校のことを会社のことのように愚痴る二人。学校では悩みを打ち明けず、掲示板で話すことを楽しみにしているアキだったのだが…。
  何が不満なのか、何が足りないのか、自分でもわからない不安定な少女の心。親との対話もおたがいに気を使いすぎてぎこちない。これじゃいけない、アキは徐々に大事なことに気付いていく。
  長崎にまつわる深い歴史にも触れながら、少女の孤独と心の成長をあたたかくえがきます。著者がどうしても書きたかった思いをこめたこの物語。大人にもぜひ読んでほしい一冊です
。──理論社ホームページより


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