アイゲリ!

コラム05
「シューヘー通信」28号(2002年4月)



インタビュー
シューヘーなんでもベスト3 第5回「歌詞」

集平の2番目より抜粋

集平 アイルランド・フォークソングの重鎮クリスティ・ムーア「RIDE ON」です。
ぼくはこの歌で、詩っていうのは意味が分かるものだけじゃないということをあらためて認識させられた。駿馬に乗って駆け抜けてく友人に向かって「行きなよ、また後で会おう。ぼくも一緒に行きたいけど、とてもついてけそうにないよ」と見送る歌。この見送り方は、美しくて優れたもの、人知の及ばないモノや技を目の前にしたときの人間の突きつめられた反応だと思う。人間の小ささ、この歌をひとりで聴いてるとボロボロ泣けてしようがないんですよ。1番目のジム・モリソンの歌詞はある程度説明できるけど、この曲に限ってはなんでそんなに感動するのかわからない。演奏を含め、圧倒的な作品の質の良さだと思う。クリスティ・ムーアが見てる世界の深さ・高さが、それよりも浅くて低いぼくみたいな人間までも動かしてくるんだろうな。アイルランド音楽に興味を持って、この歌に出会ったことだけでも感謝してるんだ。アイルランドは詩人や作家をいっぱい生んでるよね。あの国には人の心に蒔かれて育ってく種子があって、彼はそれを歌の中に込めているような気がする。

クン アイルランドは風景がきれいでしょ。日本にはほとんど残ってないけど、手つかずの風景は本当に人を感動させるよね。そういう自然の美しさを知っている人間が、自然の美しさと同質のものを言葉で表現するのが詩だと思う。

集平 彼の曲はわりと政治色の強い歌が多いんだけど、これは詩だね。心を揺さぶられました。


写真●轟の滝でアイゲリ。2000年8月 諫早市




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