第3楽章 秋 34 読み終えて天高し ----諫早市多良見町 たらみ図書館
たらみ図書館。大切な本は読了できない。本を閉じた時にそれは始まり、本を開くたびに違う何かを見せてくれる。前に読み飛ばした本が、ある時、座右の書になることもある。そんな本が読みたい。書きたい。一冊読み切った達成感を子どもにも味わせてあげたい。
ぼくの絵本の多くの登場人物と同じく、この女性は実在しない。長崎で見てきた女性たちを心の中でかき混ぜて抽出した、たらみ図書館で本を読んでいそうな一人なのである。ぼくは人物像をそのようにして描く。特定のだれかを描く時も、その人の多様な面をかき混ぜてから抽出する。