「シューヘー通信」70号
2nd『チェロギタ・ロック』を語るより抜粋
'12年9月3日 シューヘー・ガレージで
集平 =長谷川集平/Guitar Vocal
クン =クン・チャン/Cello Vocal
ジャケットに使った写真の別テイク。タトゥー見え見えバージョン。
── 「シューヘー通信」以前のアルバムを語るインタビュー。最終回は2nd『チェロギタ・ロック』です。
クン 通信は3rd『three-legged』のインタビューから始まったんだよね。
── 1995年6月でした。2ndは1994年発売。スタジオで録音した唯一のアルバムですね。
集平 こじこじ音楽団(以下、こじこじ〜)のスタジオ録音の経験をどう応用できるか、シューヘーでやってみようと思ったんだ。1枚目を出したあと、ぼくは長崎で地方の名士扱いされそうになったんで、そんなんじゃないよとピアス開けて、友人に紹介してもらって渋谷でタトゥー入れた。2ndのジャケットにも腕のタトゥーをわざと見せて写真に写ってるように、ロックやる覚悟を決めたとこだったんだ。温羅書房で『はせがわくんきらいや』が復刊されて動き出してて、その編集者を育てようというので曽我をスカウトした。『絵本未満』『映画未満』『音楽未満』が出版され、東京脱出計画の次の段階が見え始めた時期だった。
クン 3年かかってる。
集平 そろそろ長崎で足下を固めていきたいと思ってたんだ。スタジオも使いやすいところができればいいし、ライブハウスも常時やれるところがあればいいと準備し始めた。でも、あのころイメージしてたことはすべて残念ながらうまく行かなかった。
レコーディング・スタジオを見て回って、わりと融通が利くと言ってくれたとこを借りた。いろんな人がレコーディングに使ってるという評判のいいスタジオだよ。ところがいざ東京から招いたエンジニアの吉田恭子ちゃんがスタジオに入ったら、ミキサーの配線が間違っててガックリ来た。この録音はトラブル続きだった。集平のモズライト。中古で買って改造。ボリュームが一個しかありません。
集平 1枚目はストーンズやジョニー・サンダースを聴き始めて、ロックとはなんぞやっていうところ。2枚目はベンチャーズが大きいね。長崎の楽器屋でモズライトを手に入れてから、よく聴くようになったんだ。ぼくのはモズライト・ジャパンのベンチャーズ・モデル。中古で6万円だった。でもモズライトらしい音がする。今でもぼくのメイン・ギターだよ。レコーディングに使ったことで、エレキのいい音がわかってきて、それをどうやったらいい音で録音できるか考えたすえ、当時出始めのサンズアンプというアンプシュミレーターを使うことにした。レコーディングもライブもサンズアンプを通してそのままPA卓に直結する。身軽に持ち歩いて、どこで弾いても同じような音が出せるようにしたんだ。相性が良くて、最近までライブで使ってたよ。
── ギターは全曲モズライトで録ったんですか。
集平 おもにね。マーチンの生ギターも使った。
クン いろいろ重ねてる。作業日程は、手帳によると……レコーディングが1月14〜15日、18〜19日と4日間。20日は岡山集平塾で、トラックダウンが21〜22日。24日に東京でマスタリングしてるね。
集平 のべ1週間程度か。ライブでもレコーディングでも大活躍したサンズアンプ。
初期バージョンは「Classic」のロゴが当然ながらありません。(中略)
全曲解説
集平 「チェックアウト」や「IMARI」はグランジの影響が大きいね。静かに始まって壊れてく。一方、初期ロックの影響が「姫路」のアレンジや「刺青ディドリー」になり、マディ・ウォーターズやロバート・ジョンソンに立ち返って「やさしい女」になる。「Hなブギ」はロカビリーっぽいね。矢沢永吉、内田裕也とか、初期の日本語のロックを聴き返してたから。「ロックンロール・マジック」なんかもそう。このCDには今でもライブでよくやる曲がいっぱい入ってる。ポール・サイモンが最悪の時期に作ったアルバム『ハーツ・アンド・ボーンズ』。骨の
髄まで疲れてます。 でも、音楽的には飛躍があって集平は多大な影響を受けています。クン 「チェックアウト」は2ndのために書いた曲ね。
集平 このころよくツアーやってたし、外に出かけることが多かった。年中どっかにチェックインして、チェックアウトする。
クン この人、1年に100日は家にいない。
集平 東京をチェックアウトして来たというイメージもあるよ。
一番最初のギターフレーズはポール・サイモン「ザ・レイト・グレート・ジョニー・エース」のフレーズに影響を受けてる。
クン コード進行だけね。
集平 「きょうもらうお金は〜」は高田渡さんの「こいのぼりの替え唄」の影響。「ロックンロールしてるさ こんなふうに」の次のギターフレーズはロイ・オービソンの「プリティ・ウーマン」。シューヘーらしいアレンジと演奏ができた。ライブではアンコール前に歌うことが多いね。
クン ライブのときは気分がのればクジラの鳴き声をチェロで出すよ……つづく
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